するとそこは暗い峠とは違う別の世界だった
海斗が知る面白くない世界とは違い
きらびやかなビルが立ち並ぶ近未来の世界だった。
海斗「・・・」
海斗は声が出なかった。
車は宙に浮き、海斗が知る車は一台も走ってなかった。
海斗は水から上がると近くのベンチに座った
海斗は寒くてくしゃみをした後にやっと声を出した
海斗「ここは・・・」
すると海斗のずぶ濡れの姿を見て一人の少女が声をかけてきた
少女「大丈夫ですか?全身濡れてるけど・・・」
海斗「すいません。大丈夫です。」
不思議に思うのは当然だった。なぜなら今雨は降っていないしこの辺には池も湖も濡れるようなところはどこにもなかった。ただ水たまりがポツンと道にあるだけだった。
海斗はもう一度この近未来のビル群をみて少女にこう聞いた。
海斗「今、西暦何年ですか?」
少女「今は西暦2019年ですよ」
時代は海斗のいた時代と同じだった。
海斗「あっ・・・そうですか。ありがとうございます」
海斗はてっきり未来に来たのかと少し期待したが、全然今だった。
海斗はふと思った。
海斗「だったらここはどこだ?この人も日本人だし周りの人も日本人だ。でもこんな街日本で見たことない。」
こんな近未来の街が日本にあったら絶対知っているはずだが、海斗は知らない。
海斗「そもそも車が浮いてる時点でおかしい」
海斗は一瞬未来か?と思ったがさっき少女から2019年と言われたばかりだ。
すると少女が聞いてきた
少女「あなたはどこからきたの?」
海斗「(水たまりに落ちて上がったらこの街にいたって言ったら絶対引かれる・・・)」
と思ったが海斗は言ってみることにした。
海斗「落ち着いて聞いて下さいね?」
海斗「実は水たまりに吸い込まれて水たまりから上がったらこの街にいたんです」
少女「ふっ」
少女は鼻で笑った。予想内の反応だった。すると少女は結構笑いながら聞いた。
少女「それ本当www?」
海斗「そう言われると思いましたよほんと」
少女「水たま男w」
海斗「そのあだ名は耐えてないw」
二人は楽しそうに会話を続けた。
海斗「そういえば君の名前は?」
少女「私は美月。山本美月。よろしくね」
海斗「よろしく」
海斗はずっと聞きたかったことを聞いた。
海斗「そういえばここはどこ?」
美月「何を言ってるの?ここは川西市だよ?」
海斗「えっ!?」
海斗は思わず声をあげた。海斗は兵庫県にある川西市の奥の方にある田んぼ畑で育った。
川西は街中に降りると都会というほどでもないが商業施設もある程度はある街だ。しかしこんな近未来な大都市は川西市にはあるはずもない。
海斗「ここが川西市!?そんな・・・」
つい一週間前に街中に降りた時はいつもと変わらない普通の川西の街中だった。
海斗は一週間でこんなにも変わるのかと思ったがそんなはずはないとすぐに思った。
海斗「えっ兵庫県の川西市?」
美月「そう兵庫県の川西市だよ?」
海斗は思わずため息をついて頭を抱え込んだ。
海斗「まさか・・・」
海斗は急に走り出した。
美月「ちょっと!」
海斗はノンストップで20分間走って走って走り続けた。
海斗が足を止めたのは。自分の家の前、のはずだった。
しかし海斗の家があったであろう場所は空き地に変わっていた。
海斗「そんな・・・何でこんなことに」
海斗は一つ思い当たる点があった。
それは学校の読書の時間に、「世の中にはいくつもの平行世界が存在している。その世界をパラレルワールドという」
という文章を本の中で見たことある。
海斗「まさかここは・・・パラレルワールド!?」